『ライフシフト』のおすすめポイント

今回はリンダ・グラットン著『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』(東洋経済新報社)を読んだので簡単な内容紹介をしていきたいと思います。

多くの人が100年以上生きると予想される時代、誰しもが長寿化時代への適応が必要となります。現在は、「教育→仕事→引退」という3ステージの生き方が主流です。しかし、寿命が延びれば、二番目の「仕事」のステージが長くなり、引退年齢が70~80歳と延び、長い期間働く必要がでてきます。今、引退を迎える世代よりも20年も長く働かなくてはならないと考えると、ウンザリするとともに不安も湧いてきます。本書は、こうした時代に、自分の人生をどのように計画していく必要があるかを読者に示してくれます。

著者は、100年ライフを生きる時代において、お金の問題は切実だが、お金に換算できない無形資産(スキルや家族・友人関係といった人との関わりなど)も極めて重要だと繰り返し述べています。また、人生について積極的に計画を立てて行動しなければ、長寿化は恩恵でなく厄災になってしまうとも述べています。そのためには、自分が何を楽しく感じるのか、何に価値を見いだすのか知る必要があると主張しています。

本書の前半では、長生きによって必要となるお金が増えること、親世代よりも、もっと貯蓄が必要になることが詳細に書かれており、正直、読んでて気が重くなる内容です。でも、それを理解せずにいると将来困ったことになるのは自分でしょうから、目を背けるわけにはいきません。本書の一節を引用紹介すると、

平均寿命が長くなればなるほど、貯蓄率を高めるか、より高齢になるまで働くかの一方、もしくは両方が必要とされるのだ。

当たり前といえば、そうなんですが、厳しい現実を突きつけられているようでつらいですね。少し前までFIRE(Financial Independence Retire Early:経済的に自立して早期引退すること)ブームが来ていて、私も憧れていました。(達成はできないのも理解しつつ)しかし、現実は早期退職どころか長期労働となりそうで、なかなかつらいところです(´;ω;`)。

時代の変化に対応するため、新しいスキルの習得、新しいテクノロジーを受け入れることも重要で、都度学習していくことが必要になります。本書ではリ・クリエーションの必要性について繰り返し強調されていました。

100年ライフでは、お金を使うことより貯めることが重要になるし、余暇時間をレクリエーション(娯楽)から自己のリ・クリエーション(再創造)に振り向ける必要性も高まる。

テクノロジーの進歩によって、キャリアの初期に身につけた専門技術が時代遅れになるので、生涯を通して新しいスキルを獲得し続けることを覚悟していかなければいけません。なんらかの専門技能を習得するには1万時間(※約417日)が必要だと言われるそうです。本書では、人生を100年とすれば、私たちは一生の間に87万3000時間の時間をもっているので、これだけ多くの時間をもっていれば、生涯に複数の専門技能を学ぶことは不可能ではないし、途方もない難題でもないと説明されています。また、学習においては、インターネットとオンライン学習が発展して、単純な知識なら誰でも簡単に獲得できるようになると述べ、次のように指摘しています。

知識の量ではライバルと差がつかず、その知識を使ってどういう体験をしたかで差がつく時代になる。

また、健康に関心を持つことも100年ライフではとくに重要と述べています。

長寿化時代には、健康の価値がいっそう大きくなる。50歳のときに病気で働けなくなることのダメージは、寿命70歳の時代より、寿命100歳の時代のほうがずっと大きい。不健康の代償は経済的な面でもそれ以外の面でも甚大なものになりかねない。

かくいう私も、この本を読んでいるのが入院中のベッドの上でしたので、より痛感する所です。健康なうちは、それがずっと続くと思ってしまいますが、病気や怪我は予想もしない時に起こるので、その可能性を忘れずに人生の計画を立てなければ容易に破綻してしまうんだなと実感します。自分だけでなく家族の誰かがそうなるリスクもありますよね。(起きて欲しくはないですが、想定はしておかないと、と思います。)

〈本書を読んだ所感〉

私の場合、日々過ごしている中で、自分や家族の人生について計画を立てることはできていませんでした。ですので、本書を読んで、これからは少しずつでも考えていかなければいけないなと思いました。最後に、新しい生き方や働き方について、決断をくだす際のポイントを引用にて紹介して終わりたいと思います。

重要なのは主体的に選択することだ。そして、どのような選択がどのような結果をもたらすか理解する必要がある。

最後までお読みいただきありがとうございました。