『限りある時間の使い方』のおすすめポイント

はじめに

この本おすすめです!

さて、今回はオリバー・バークマン著『限りある時間の使い方』(かんき出版)を読んだので、簡単な内容紹介と感想などを書いていきたいと思います。

ざっくり内容紹介

本書は従来よく紹介されているような「効率的に仕事をこなす方法」、「時間管理術」などとは少し趣きが異なります。本書によると、80歳くらいまで生きるとしても、私達の人生はたった4000週間しかないと述べています。人生は短いのだから、自分に与えられた時間をそのまま味うことが大切だと著者は主張しています。

所感

本書はページ数も多く、読むのに時間がかかりました。それでも、人におすすめしたいです。そう思った理由は、本書が私に新たな気づきを与えてくれたからです。それは、固定観念に捉われた思考を解放してくれるような気づきでした。(ちょっと大げさですかね(^-^))日々忙しい中で、やりたいことは山のようにあります。一方で、やらなければいけないことはそれ以上あります。私は日々、「どうすればこの膨大な仕事を効率的に片付けられるだろう?」「この、こまごました仕事を片付けてから、自分のやりたいことをやろう」「頼まれた仕事をひとつ片付けてる間に、さらに3個の仕事が来た(T-T)(泣)」というような思いでいっぱいでした。会社の仕事では、一生懸命やればやるほど仕事が増えていく感覚が常にあり、「もっと効率よくやらなきゃ終わらない」「自分のやり方が良くないのかも。もっと頑張らないと」と考えていました。そんな私に本書は「そもそも全部こなすのは無理だ!まずはそれを認識しよう!」と教えてくれました。私にとってこれはかなりインパクトのある気づきでした。

ここからは、本書の中で印象に残った所をいくつかご紹介したいと思います。

まずはこちら。

本当にやりたいことがあるのなら今すぐ始めることだ。今やらなければ時間はないのだ。〜中略〜

難しいタスクを落ち着いてやり遂げるには、完璧に没頭できる状態を夢見るよりも、嫌な気持ちをそのまま認めたほうがいい。

仕事においても、難しい業務や考えなければいけないことは、集中できる時間を確保しないとダメだと思ってしまいます。しかし、完璧に没頭できる状態になんてなったことがありません。もう、その事実を受け入れて、進んでいくしかないんだなと思えました。本書では、人の苦しみはすべて、現実を認めたくないという気持ちから生じるのだと述べられています。「こんなはずではなかった」「どうして思い通りにいかないんだ」という気持ちこそが、苦しみの根源なのだと。まず一旦、現実を受け入れることが重要なんですね。

続いてご紹介したい点はこちら。

「もしも救いがけっして来ないことを知っていたなら〜つまり、あなたの基準は永遠に達成できず、充分な時間は永遠に手に入らないことが確かだとしたら〜あなたは今日、自分の時間をどう使うだろうか?」

このフレーズ、個人的にすごく影響を受けました。会社では上司から依頼された仕事を優先してこなしていました。(命令なんだから、当たり前ではありますが。)でも、その中身は本質的にはどうでもいい(優先度が低い)ことだったり、誰がやってもいい内容だったりします。これまでの私は、そうした仕事をまず片付けてから、本当は重要だけど誰もやっていないことに着手しようと考えいました。でも、依頼は次から次へと来るのです。なまじ頑張っているから、「コイツは仕事が早い」とでも思われたのか…(あるいは「大人しく従う使い勝手のいい部下」なのか何にも考えていないだけなのか)私が「よし!片付いた!さあ、アレに取り掛かろう!」と思うとすぐに次の依頼で私の時間は埋め尽くされていくのです。本書を読んでからは、「仮に1ヶ月後に死ぬとしたら、これを最優先にやってもしょうがないぞ!」と思うようになり、自分が本当に取り組みたいことを優先するようになりました。(もちろん上司の依頼もこなすけど、優先順位の一番上にはしない。)怒られるまでは、ちょっとそうしてみようと思って始めたのですが、意外にも今のところ大丈夫です。(というか何にも言われない。たぶん自分が思うほどこっちのことなんて考えてない)

続いては第14章からの引用です。

人生の重要な決断をするとき、「この選択は自分を小さくするか、それとも大きくするか?」と問うことを勧める。例えば、今の仕事を辞めるかどうか悩んでいるとしよう。そんなとき「どうするのが幸せだろうか」と考えると、楽な道に流される。あるいは、決められずにずるずると引きずってしまう。一方、その仕事を続けることが人間的成長につながるか、それとも続けるほどに魂がしなびていくかと考えれば、答えは自然と明らかになるはずだ。

時折、「自分はこのままで良いのだろうか」という気持ちが襲ってきます。年齢の近い人が退職すると知ったときなんかは特にそう思ってしまいます。…転職考えるべきか…そう思ったときにこのフレーズが頭をよぎるのです。(しかし、いまだ動き出せなかったりもする。)…私の個人的な悩みは置いておいて、考え方として良いなと感じたフレーズでした。

おわりに

今の自分に凄く刺さる内容でした。自分は忙しいと感じている人に特におすすめしたい本です。本を読むこと自体が時間がかかる行為だと分かった上で、それでもおすすめです!ちなみにKindle情報では、読み終えるまでの平均的な時間は5時間14分だそうです。私はたぶんもっとかかったと思います。個人的には、それぐらいの時間をかけても読む価値ありだと思います。

また、本書の巻末には、付録として「有限性を受け入れるための10のツール」というものがあり、振り返りにも良いと感じました。


最後までお読みいただきありがとうございました。